SEE THE SEA の『手作り紅芋タコス』は、沖縄・瀬長島ウミカジテラスのカフェ「SEE THE SEA」が提供するグルテンフリーの手作りタコスです。沖縄産の紅芋を練り込んだトルティーヤを毎日店内で手焼きし、看板メニュー『特製タコライス』の相棒として開発されました。小麦不使用・100%植物性で、どなたでも安心してお召し上がりいただけます。
■ きっかけは、お客様との「本当の話」
「タコライスって、タコ(蛸)が入っていないんですね」
笑い話のようで、実はよくある会話です。沖縄を初めて訪れた方の中には、本気でそう思っていた方も少なくありません。そしてその質問に答えながら、私はいつも少し心が躍ります。なぜなら、この誤解の裏側に、とても面白い歴史が隠れているからです。
「タコス」はメキシコ生まれの料理です。沖縄に米軍基地が置かれたことで、アメリカを経由してその文化が持ち込まれ、沖縄の家庭料理と混ざり合いながら「タコライス」として独自の進化を遂げました。今や沖縄を代表するソウルフードのひとつですが、その出発点はタコスにあります。
ならば、当店の誇る『特製タコライス』の相棒として、そのルーツである「タコス」を作ろう。しかも、どこにもない最高のものを。タコライスの開発秘話と同様に、もちろんグルテンフリーで、プラントベースで、それでいて「これが一番おいしい」と胸を張れるものを——。その挑戦が、ここから始まりました。
■ 「効率」ではなく「伝統」と「食感」の共存
タコスの原点に立ち返ることから始めました。
メキシコで生まれたトルティーヤは、もともとトウモロコシを主原料とするグルテンフリーの食べ物でした。小麦粉は使っていない。つまり、タコスの「本来の姿」はすでにグルテンフリーだったのです。これは大きな発見でした。
しかし現代では、食感や扱いやすさのために小麦粉を加えることが一般的になっています。ソフトシェルはもちもちとしていて——あの独特の食感を小麦粉なしで再現することは、思いのほか難しい課題でした。ハードシェルに関しては、店舗保管のキャパ上の問題で選択肢に上がりませんでした。
何十種類もの配合を試しながら、ある素材に辿り着きました。沖縄の恵み、「紅芋」です。
鮮やかな赤紫色の生地は、見た目の美しさだけではありません。紅芋が持つ自然なもちもち感と粘り気が、私たちが追い求めていた「あの食感」を、小麦粉なしで見事に再現してくれたのです。さらに紅芋は沖縄を代表する食材のひとつ。グルテンフリーのトルティーヤを作りながら、沖縄らしさも同時に表現できる——これ以上ない答えでした。
色鮮やかな紫の生地がテーブルに置かれた時、多くのお客様が思わず声を上げます。「きれい」という感嘆の声が、頑張って開発してくれた店長への最初のご褒美でした。
■ なぜ、あえて「手作り」と名乗るのか
現在、多くの飲食店では仕入れのトルティーヤを使用しています。コストを抑えられ、品質も安定する。経営の観点からは合理的な判断です。
しかし当店は、その選択をしませんでした。
理由はシンプルです。当店の紅芋トルティーヤは、独自の配合と厳格なグルテンフリー基準を守るために設計されたレシピのため、外部の工場では再現することができません。妥協した瞬間に、このタコスは別の料理になってしまいます。
だからこそ、毎日1枚1枚、店内で丁寧に焼き上げます。
「手作り」という言葉を安易に使いたくはありませんでした。でも私たちにとってこの言葉は、ただの謳い文句ではありません。安易な効率化を選ばず、お客様の安心と美味しさを守り抜くという覚悟の表明です。
グルテンフリーのお客様が、アレルギーを気にせず「本物のタコス」を楽しめること。沖縄の食材が持つ力を、見た目からも味からも感じてもらえること。そして一口食べた時に、思わず「きれいで、おいしい」と笑顔になってもらえること。
その瞬間のために、今日も厨房でトルティーヤを焼いています。
■ あわせて読みたい